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zoom RSS 空海と密教美術展

<<   作成日時 : 2011/09/09 23:40   >>

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 仏教を日本に広く浸透させる事に貢献したひとりの僧「空海」と、彼の伝えた「密教」という仏教形式にまつわる“美術的価値のある”仏具等々を美術品として鑑賞できる、という展覧会。東京国立博物館 平成館(上野)。11年7月20日〜9月25日。

 空海は中国へ留学し、そこで学んだ密教を日本で広めた、というのがざっくりとした説明。密教の教えは奥深く、絵画など視覚や美的感覚を用いなければ説明できない、ということらしい。そこには教えを表す為の仏像画や仏具、曼荼羅と呼ばれる宇宙を表す仏の相関図、そしてそれを具現化したとも言える仏像・仏像曼荼羅が展開される。

 展示はそれらに加えて空海直筆の書なんかも展示されている。この書、って物が価値を感じるのが難しかった。僕は宗教知識に疎いので経典の価値も理解できない。真の価値は信奉者にしかわからないだろう。加えて僕は歴史的価値も上手く興味を見出せない。ただ字が並んでいるようにしか見えない“書”ってものをどう楽しむか?思いを馳せてみる。
 その一文字一文字の正確さ、美しさは素晴らしい。それが永遠とつらなり、長い巻物になっている。この時代には印刷技術などはないわけで、やり直しも量産も部分公正もない。したためられた書物は、誰かが頭から終わりまで直筆したものだ。空海という人物が、誤字脱字など当然無く、ひとつひとつを正確に書きしたためたものが実際に目の前にあるのだ、と思えばその価値もわかる、気がする。
 相当な集中力だろう。どんな場所・環境で、どんな速さ、リズムで書いたのだろうか。その筆運びも美しかったろう。習字・書道の経験のある人なら、筆運びの美しさまで想像できるんではないだうか。

 展示はまず、そんな“書”から始まって、掛け軸、仏具、仏像とそのスケールを増していく。

 仏具の造形美は素敵。形に意味はあるとしても、その美しさの理屈はどこにあるのだろうか。その理屈のある場所が、密教の教えのある場所だったりするのだろうか。

 どうしても感想がふわっとしてしまう。宗教美術って個人が個人の気持ちを表現したもの、ではなくて、宗教というひとつの形あるべき感覚を、個人的に夢想したもの、という印象だ。上手く言えてないけれど、つまりは主観と客観くらいの違いがあるんじゃないか、ってこと。造っている本人ですら「こうじゃないですか?」って非断定的に造っている気がする。美術って全般的にそんな断定的に「これ!」って言い切れる表現手段ではないだろうが、個人の表現ではない、世界の表現である宗教美術は、観る側もより「こういうことなのかなぁ?」と感想がふわっとする気がする。

 しかし、僕個人はそんな不確かな感想に終始する美術鑑賞が好きだ。無知は無知として、それでも感じる「綺麗」「美しい」「面白い」そして「圧巻」を、感じて周る事に意義を感じる。

 仏像はまさに圧巻。明王という部類の、簡単に言えば“悪と戦う”仏様が多く、迫力満点。観れる距離も近い。表情やポーズ、日本人なら見慣れているそれらを、改めてじっくり観て見る。面白い。改めて観れば、斬新である。
 

 国宝 重要文化財 98.9%。そんな数字出されると残りの1.1%が何なのか逆に気になってしまうが。ほぼ、すべてがこの国の“宝”に指定されたものである。この国は何を宝としているかが良くわかる。いや、宝をどう扱っているか、かな。

 特に仏像等は、作った側も、創られた側も、美術館で美術品として扱われるつもりではいなかったろう。真の価値は信奉者にしかわからない、と書いたが、信奉者であれば逆に、この仏達の扱いはどう感じるんだろうか… などと頭をよぎってしまうのだが。しかし“扱い”という表現あたり、僕自分に敬意がない。信奉者も、仏も、提供者達も“うわ手”と捉えれば見方も変わる。提供者からすれば美術館に“置かせてあげている”のであるし、仏自身からすれば、あえて美術品として“鑑賞させてあげている”んだろう。なんとありがたいことか。

 ありがたいついでに普段見ることの適わない後姿も見てみる。後ろから見て尚、その存在感、造りこみに感動する。ここまで多くの人にじっくり“技術”を見られたら、造った側も本望だろう。

 展示最後は、仏像曼荼羅と呼ばれる、仏像による曼荼羅=宇宙である。数こそ一部で全てを語るに足りないが、数体の仏像で表現された“世界”。平成館の造りと相まって、全体を見渡せたりも出来る楽しいフロアになっていた。仏像それぞれを観るのももちろんのこと、この空間を観るのも楽しい。仏と人がコミュニケーションを取り合っているようだ。なんともありがたい光景。


 各地のお寺巡りこそが宗教美術に触れる全うな方法なのであろうが、美術鑑賞と割り切った、こんな展示も良いものだ。美術館と寺院の中間、まさにコラボレーションといえる不思議な空間。流石に若い人は少なかったけれど、若者世代にも是非お勧めしたい異空間でした。

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